こんにちは!
『夫婦立て直し工場』の石谷落果です。
プロフィール
石谷落果
夫婦カウンセラー
『離婚寸前の夫婦危機を経験したこと』が夫婦カウンセラーを志すきっかけ。家族心理学・認知行動療法に精通し、心理的なサポートから経済的フォローまで多角的な夫婦カウンセリングを実施中。
夫婦問題は長引くほど立て直しは難しくなります。ひとりで悩まずに、一緒にしあわせな家族を目指しませんか?
今回は、長く住める住宅を示す4つの数値についてです。
前記事では、家を持たないリスクについて紹介していますので、合わせてお読みいただけたら幸いです。
大きな買い物なので慎重に検討しましょうね!
夫婦・家族関係についてひとりで考えるのがつらいと感じたら、夫婦立て直しカウンセリングを選択肢のひとつとして考えていただけたらと思います。
必ずあなたの力になります。
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長く住める家は少ない
老後に安心して暮らせる家を購入しよう。
そういった考えの元、住宅購入を検討した私でしたが、最初の躓きはこれでした。
『老後まで住める家って日本にはほとんどないぞ!』
この現実は、日本の住宅業界が抱えている大きな問題と言ってもいいでしょう。
長くなるので簡単に説明すると、
『経済成長のため、家を建てては壊すを繰り返してきた歴史が今の住宅業界の問題を作り出している』
『パワービルダーの建てた新築戸建を買うことはハイリスク』
ということです。
※興味のない方、早く4つの数値を教えて!という方は、読み飛ばしていただいて問題なしです。
日本の住宅業界の問題
現在、
日本における住宅のほとんどが30年ほどでボロボロになってしまい、
莫大な維持費がかかるか、
住み替えをしなければならないリスクを抱えています。
そもそも、家は30年で建て替えるものという、現在の常識が日本に生まれたのは、高度経済成長期のことです。
経済成長のために、
都市圏集中型の社会へと変容する際、地方から都会へと集まった人々が暮らすため、多数の住宅が必要になりました。
そこで通勤圏の拡張とともに大量の住宅供給され、家という高額な買い物を可能とするための住宅ローンの整備が行われたのです。
次々と住宅を造り続けることによってGDPを拡大していくという国の目論見もありました。家具や家電も新たに購入し、経済の拡大につながりますからね。
質よりも量を重視する日本の家は、それを購入する人たちだけでなく、国や住宅業界にとっても都合のいいものでした。
今でこそ、長期優良住宅や品確法の耐震等級など、住宅の品質を高めるための制度が生まれました。
しかし、近年でもパワービルダーによって高度経済成長時と同様に、低品質、短寿命の住宅が乱立されています。
新築戸建はハイリスク
新築戸建については後に説明するレベルの高い工務店が建てた物でなければ絶対に手を出してはいけません。
表面上の販売価格=イニシャルコストが魅力的でも老後リスクは解消できず、維持費=ランニングコストが増加してしまうからです。
ローンを払い終えた頃には住めない家になっていて、高額なリフォーム費用を払うか新しい家を購入するか、賃貸に住まなければなりません。
これは最もリスクが高い状態です。
では、どんな住宅を購入すればいいのでしょうか。
住宅の性能を示す4つの数字
長く住める家を購入したいなら、
以下の4つ性能を示す数字を工務店やハウスメーカーの営業担当に確認してみてください
①耐震等級 ②Ua値=外皮平均熱貫流率 ③Q値=熱損失係数 ④C値=相当隙間面積
そして、それぞれの数値は
①耐震等級 → 『耐震等級3』
②Ua値 → 0.5W/㎡・K以下
③Q値 → 1.0W/㎡・K以下
④C値 → 0.5㎠/㎡以下
となるのが望ましいです。
次に、数値の意味について簡単に説明します。
耐震等級
『耐震等級』は住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)によって定められた震度7の地震に建物どのくらい耐えることができるかと言う指標です。
せっかく家族のために建てた家が簡単に地震で倒壊してしまっては、どうしようもありません。
そのためには、耐震等級がどういった指標なのか知っておくことが大切です。
等級には1〜3の3つの区分があります。
耐震等級1
『耐震等級1』は、建築基準法で定められた、建物に備わっているべき最低限の耐震性能を満たしていることを示すもので、数百年に一度起こる大地震に耐えうる強度を持つように構造計算されています。2016年4月に発生した熊本地震と同レベルの強さに想定していると思ってください。しかし、「耐震等級1」では、倒壊しないけれど大規模修繕や建て替えが必要になります。命は守ってくれるけど、その後は役目は果たせないという感じですね。
耐震等級2
『耐震等級2』では、『耐震等級1』の1.25倍の強度となります。倒壊はせず、修繕すればその後も住み続けることが可能です。長期優良住宅とし認定されるには必須の強度となります。
耐震等級3
『耐震等級3』では『耐震等級1』1.5倍の強度となります。軽微な補修で問題なく住むことができます。警察署や消防署など災害時の復興拠点となる建物は耐震等級3で建てられています。
地震に対する建物の強さについては、詳しくは以下を参照してみてください。
参照:地震などに対する強さ(構造の安定) | 一般社団法人 住宅性能評価・表示協会
耐震等級3で地震保険は半額!
また、耐震等級によって地震保険が割引されます。耐震等級3の住宅は、保険料が半額です。
耐震等級 | 3等級 | 2等級 | 1等級 |
---|---|---|---|
割引率 | 50% | 30% | 10% |
そもそも地震保険は必要?という意見もあるかと思いますが、参考までに。
地震大国である日本において、耐震等級3であることははっきりと言って必須です。
『耐震等級3』を謳うのではなく、そうであることが当然だというスタンスのハウスメーカーや工務店なら安心して任せられますね。
Ua値=外皮平均熱貫流率
『Ua値』とは『どのくらい熱量が家の外に逃げやすいのか』を示した数値です。
数値が小さいほど高性能ということになります。
家の内部と外部の熱移動が少ないほど、断熱性能が高く室内環境が快適な住まいと言えます。
グラスウールやウレタンフォームなど熱を逃がしにくい素材を家の基礎部分や外壁・屋根に取り付けます。
どの素材を扱っていても問題ありませんが、ZEH基準に対応させるのがベストです。
ZEH(ネット・ゼロエネルギーハウス)とは「外皮の断熱性能等を大幅に向上させ、高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現した上で、再生可能エネルギーを導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとなることを目指した住宅」と定義されています。
ZEH基準となるUa値は以下の通りです。
数値としては関東であれば0.6(W/㎡K)以下が望ましいですが、Ua値よりも次に説明するC値やQ値の方が重要なので小さい方がいいんだなくらいの感覚で大丈夫です。
Q値=熱損失係数[W/㎡・K]
『Q値』もUa値と同様には『どのくらい熱量が家の外に逃げやすいのか』を示した数字です。
何が異なっているのかというと換気による熱逃げを考慮しているかの違いです。
2003年の建築基準法改正により、シックハウス症候群の予防のため、住宅に24時間換気システムを導入することが義務化されました。
しかし、この換気によって、せっかく快適な温度に保たれている空気が逃げてしまいしまうようになりました。
Ua値を一生懸命下げても換気システムが優れていなければ、快適さや光熱費に影響を与えてしまいます。
そこで、換気システムの熱逃げの少なさを含んだQ値によって建物の断熱性能を示していました。
2013年までは主にQ値を用いて住宅の断熱性能を判断していましたが、現在は省エネルギー基準が改正され、Ua値で断熱基準が判断されるようになっています。
当時の地域ごとの基準値は
地域Ⅰ/北海道・・・1.6 W/㎡・K
地域Ⅱ/東北地方・・・1.9 W/㎡・K
地域Ⅳ/東京・・・2.7 W/㎡・K
となっています。
寒い地域ほど低い数値が基準とされているのは室内と外気の温度差を考えれば、頷けますね。
また、Q値は住宅の冷暖房費に直結していて、C値が同じであればQ値が小さいほど冷暖房費は比例して安いということになります。
ざっくり計算すれば
Q値2.7W/㎡・K程度の一般的な建売住宅家の暖房代が2万円/月だとすると、Q値1.0W/㎡・Kでは7,400円/月になるということです。
Q値は低ければ低いほど快適でランニングコストのかからない家だと言えます。
C値=相当隙間面積[㎡/㎡]
4つ目の『C値』が示すのは『気密性能』です。『1㎡当たりの隙間面積』を示した値です。
値が小さいほど気密性能が高いことを表し、住宅の性能を示す数値の中で重要なポジションを担っています。
気密性能が高い住宅に得られるメリットは主に4つです。
・換気効率 ・湿度コントロール性能 ・室内空気の安全性 ・省エネルギー
高い断熱性能と優れた換気システムを取り入れた住宅であったとしても気密性が悪ければ給気口からの給気量の割合は以下のように格段に低下してしまいます。
C値が0.5㎠/㎡でようやく換気システムによって清浄化された給気割合が66%となります。
熱交換率に優れた換気システムであっても、気密性が低ければ宝の持ち腐れです。
一方、換気効率が向上することにより、湿度のコントロールが容易になり、室内空気の安全性が高まります。
理論上のUa値と異なり、C値は気密測定器を使って1棟ごとに測定するため、信頼性のある数値といえます。
大手住宅メーカーの一部やローコスト住宅メーカーやパワービルダーはそもそも気密測定を行わないところも存在します。
そういったメーカーの住宅は買わないのが賢明です。
測定しない=数値を知られるとデメリットとなる、とメーカーが思っているということですからね。
よく、レベルの低い住宅メーカーで言われるのは、『C値が高いと風通しが良くて結露やカビを防げますよ』という言葉です。
しかし、いくら私たちが見える範囲で快適そうでも、家の内部は温度差と湿度差によってカビ、結露、腐食で取り返しのつかないことになっています。それこそ2,30年で住み替えなければならないほどです。
数値のバランスとコスパを考える
ここまでの説明を読んでくださった方は、
『耐震等級3を取り、すべての数値を限りなく0にするのがいいんだな!』
と考えたと思います。
私もそうでした。
しかし、理論上正解ですが、最適解とは言えません。(家を購入すること自体が最適解ではないという意見は一旦置いておきます)
なぜなら、一定レベルの性能まで引き上げるのことは、どのメーカーや工務店でも十分可能ですが、0に近づけるのとなると費用と技術が莫大になります。
仕事でも経験があると思いますが、0点から80点まで仕上げる労力と、81点から100点を目指す労力は桁違いです。
それは住宅においても同じ。
そして、仕事は時間をかければどうにかなりますが、家はお金をかけなければなりません。
80点の性能の家を100点にするために、何百万も金額を上乗せしたのでは、莫大なローンを抱えることになり、家族の幸せを考えたときに本末転倒です。
そのために考慮するのが数値です。
①耐震等級 → 『耐震等級3』 ②Ua値 → 0.6W/㎡・K以下 ③Q値 → 1.0W/㎡・K以下 ④C値 → 0.5㎠/㎡以下
以上の数値を重視することで、快適な居住環境を長年維持しながら災害時に住む場所を失うリスクと光熱費の削減できます。
しかし、あくまでも目安です。
コストを下げ過ぎては将来のリスクが増し、逆に上げ過ぎれば日々の生活が苦しくなります。
家族のしあわせを損なわないような選択を心がけてくださいね。
メーカーや工務店選びについては、家族を幸せにする工務店、ハウスメーカー選びのコツで説明します。
参考になれば幸いです。
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