【夫婦カウンセラーが伝えたい】老年期の乗り越え方〜家族の発達課題⑦

こんにちは!

 

『夫婦立て直し工場』の石谷落果です。

 

プロフィール

石谷落果

夫婦カウンセラー

『離婚寸前の夫婦危機を経験したこと』が夫婦カウンセラーを志すきっかけ。家族心理学・認知行動療法に精通し、心理的なサポートから経済的フォローまで多角的な夫婦カウンセリングを実施中。

夫婦問題は長引くほど立て直しは難しくなります。ひとりで悩まずに、一緒にしあわせな家族を目指しませんか?

 

今回は、

人生の終盤である老年期(60歳〜)における家族の発達課題についてお伝えします。

 

人生の最期へ向けて、

家族みんなが笑顔で過ごせるように、

今から準備をしていきませんか?

 

石谷落果

夫婦・家族関係についてひとりで考えるのがつらいと感じたら、夫婦立て直しカウンセリングを選択肢のひとつとして考えていただけたらと思います
 
必ずあなたの力になります

 

夫婦立て直しを始めたばかりの方↓

 

状況別の夫婦立て直し↓

 

家族の経済的不安を無くしたい方↓

 

家族の発達課題について学びたい方↓

 

目次

人生の統合と再構築

老年期は、

これまでの人生で育ててきた家族的・職業的な役割が

少しずつ落ち着いていく時期にあたります。

 

これまでは、

仕事への取り組み、

子どもの世話、

周囲へ与える影響などが、

自分の存在価値にリンクしていました。

 

しかしながら、

老年期では影響を与える側から受ける側へと再度移行していくきます。

 

自分の価値観や意味を見失いやすい時期でもありますので、

これまでに育ててきた自分の役割や生きがいをまとめ上げ、

新しいかへシフトしていく必要があるのです。

 

統合と絶望

発達心理学者のエリクソンは、

老年期の最大のテーマは『統合と絶望』だと述べています。

 

人生の統合

人生の統合とは、

これまでの人生や出会ってきた人とのつながりのうえに成り立っていると認識し、

自分の人生のさまざまな経験を一貫性と全体性の感覚からひとつにまとめ上げること。

 

要するに、

  • 自分の人生はどのような意味があったのか。
  • 誰にどのような影響を与えることができたのか。

という事柄について自分なりの答えを出すことです。

 

生き生きとした残りの人生を送るため、

これまでの人生を肯定するためにとても大切です。

 

自己への絶望

自分の人生を統合していく対して、

自己への絶望という感覚とのせめぎ合いが発生します。

 

  • 運動機能や認知機能の衰えによって、今までできていたことができなくなる。
  • 認知症によって、記憶が断続的・曖昧になって自己の連続性が失われる。
  • 今まで育ててきた子どもに介護される役割の逆転。

 

自分が老化する現実。

 

人生が長くないという絶望感。

これらと上手に付き合っていかなくてはなりません。

 

夫婦関係の再構築

老年期には、

夫婦関係の再構築も行われます。

 

ともに穏やかに歳をとっていく場合もありますが、

急な病によって、

どちらかが要介護状態になってしまうことも珍しくありません。

認知症の影響で対等な関係性が失われていくこともあります。

 

心理的・肉体的な老化のスピードは人それぞれ。

 

夫婦間でもペースは異なります。

 

 

お互いに配偶者の衰えや死を受け入れて生活していくことが求められるのです。

 

大切なのは、

これまでの関係性のうえに老年期の夫婦関係は成り立っていること。

 

例えば、若い頃に不倫やDVなど大きな問題を起こしている。

 

そして、信頼を取り戻せていなかった場合、

老後生活が穏やかではないことは想像できるでしょう。

 

老年期になってひとりになるのが不安だからといっても、

配偶者との信頼関係が築けていなければ希望は叶わない可能性は高いです。

 

自分自身が今どの時期にいるのかを把握して、家族の発達課題について一緒に学んでいきましょう。

多世代の関係性の再構築

また、自分自身が発達課題に取り組んでいるということは、

親や子どもも発達課題に取り組んでいるということ。

 

家族全員がそれぞれの時期の発達課題に取り組みなからの『家族システムの変容』が必要になります。

 

自分はいつまでも若くない。

子どもはいつまでも未熟なままではない。

親はいつまでも元気ではない。

 

それぞれのライフステージの課題に取り組みながら、新しい親子関係・夫婦関係を模索していきます。

 

とくに、老年期には役割の逆転が発生します。

 

家系の課題として挙げられる逆転現象とは異なり、

 

家族が年を重ねていく中で、守るものと守られるものが少しずつ変わっていくのは自然なことです。

 

最たる例が介護だと言えます。

 

介護は老年期最大のテーマ

介護は老年期最大のテーマであると言っても過言ではないでしょう。

 

日本は少子高齢化というオーナス期を迎えています。

 

社会福祉への負担は増大し、自分で自分の身を守る必要性も大きくなっています。

 

これまでと同様の国からの手厚い支援は難しくなってくるかもしれません。

 

とはいえ、自分が直接介護に関わるのは家族です。

 

少子高齢化によって親が増えるわけではないので、確実に対策しておくことで安心した介護システムを構築することができます。

 

まずは、全体像を抑えていきましょう。

 

介護に臨むための詳しい手順についてはこちらの記事でより詳しく紹介しています。

 

介護へかける時間とお金は家族ごと違う

最初に考えておかなくてはいけないのは、

『介護にかける時間とお金は家族ごとに違う』

ということを認識することです。

 

介護にかかる時間と費用は個人差があります。

 

運動機能や認知機能の衰えの程度は人によって違いますし、

 

かけられる費用も時間も家族の資産や働き方によっても異なります。

 

目安の費用はありますが、

『絶対にこの金額と時間をかけなくてはいけない』

という決まりはありません。

 

介護に関わる時間と費用は

『どのくらいかかるか』

ではなく、

『どのくらいかけるか』

という考え方に切り替えていきましょう。

 

介護する立場

老年期になると自分が介護する可能性も大きくなってきます。

 

自分が60代であれば、

親は80〜90代。

 

介護が必要な世代です。

 

また、配偶者が突如病気で寝たきりになってしまったり、若いうちから認知症が始まってしまう可能性もあります。

 

ポイントとなるのは、↓の2つ。

  • 1人で抱え込まない
  • 生活だけではなく心のケアもする

当たり前のことに聞こえますが、

当事者になると忘れてしまいがちなことなことなのです。

 

介護は家族全体で

これまでお話ししたように、介護は、

『介護者』と『被介護者』

という一対一の課題ではありません。

 

家族と社会が一体になって取り組んでいく課題になります。

 

介護が必要になったとき、

適切に介護するための手順についてはこちらの記事で考えてみましょう。

 

再編支援

また、生活の支援だけでなく心理面の支援も必要です。

 

とくに、老年期は自分の人生を統合することで人生の意味や価値を見出すことができます。

 

認知症になってしまっても発達課題は同じです。

 

介護される立場になり、

心身ともに弱っている親や配偶者を心理的に支えてあげてください。

 

回想法とナラティヴ・セラピー

具体的には『回想法』と呼ばれる認知症のケアに利用される方法が有効です。

 

お年寄りが自分の歩んできた人生を振り返り、聴き手と対話することで、

心や記憶の中の事実としての自分の人生を再評価・意味の再発見がされます。

 

また、ナラティヴ・セラピーも有効です。

 

ナラティヴ・セラピーとは、

自分の価値観・志向性や人生の願いなどにふれながら先の人生のストーリーへ展開させる会話をするというもの。

 

お年寄りが自分の若い頃やこれまでに経験したこと成し遂げてきたことを語るのは、

自然と回想法やナラティヴ・セラピーを実施していると言えます。

 

同じ話を何度もされてうんざりする経験があるがしれません。

 

客観的に見たら事実と異なることを話しているかもしれません。

 

しかし、本人にとっては心から信じている事実なのです。

 

無理のない範囲で『うんうん』と頷きながら話を聴いてみてください。

 

回想法やナラティブセラピーは傾聴の技術が役に立つと思います。

 

ヤングケアラーを生まない

介護する側の注意点としては、

ヤングケアラーを生まないことです。

 

介護は家族全員で臨むものだとお伝えしましたが、若者の時間や自由を奪う選択は避けなければなりません。

 

アイデンティティの確立の観点から考えても、自分の将来を早期完了してしまうおそれがあります。

 

若者の介護参加は本当の最終手段。

 

参加させても短期的・限定的にするべきです。

 

介護される立場

自分自身が介護される立場からできることは限定的です。

 

とくに、認知症になったら介護のために学んできたことも忘れてしまうかもしれません。

 

ですから、

要支援・要介護状態になる前から準備を進めておくことが大切。

 

ポイントは、

  • 健康寿命を延ばすこと。
  • 介護資金を用意しておくこと。

 

前もってやれることに取り組んでみましょう。

 

フレイル

まずは、健康的な状態を可能な限り保つこと。

 

健康状態と介護状態の中間のことをフレイル言います。

 

運動機能や認知機能が低下した状態ですが、適切な介入・支援によって生活の維持・向上が可能。

 

健康状態に戻ることも

 

健康寿命を伸ばすためのフレイル予防にも注目されています。

 

予防策の3つの柱

予防策の3つの柱を簡単に紹介します。

  • 栄養(食と口腔環境)
  • 社会参加(就労・余暇活動・社会貢献)
  • 身体活動(運動・社会活動)

 

要するに、

バランスの良い食事を摂ること。

身体を健康に保つこと。

社会とのつながりを維持すること。

↑のような『そんなこと知ってるよ!』ということを老年期に入っても継続して続けていこうという取り組みです。

 

どうしても、歳を取ってくると活動量が低下し、家に篭りがちになります。

 

今のうちからフレイル対策を始めておくと、将来の不安や家族はの負担が軽減するはず。

 

夫婦で共通の趣味を持っていれば、

一緒に刺激し合いながらフレイル対策に取り組めます。

 

健康寿命を伸ばす最適な方法は、

夫婦で取り組める何かを生涯かけて築いていくことかもしれませんね。

 

介護資金

介護資金については、

必ず介護される側が用意するようにしましょう。

 

年金・公的補助・個人資産を足し合わせて、介護にいくら使うことができるのか把握しておくことが大切。

 

そして、

介護期間は100歳までを想定して考えてください。

 

長生きリスクに備えておくに越したことはありません。

 

すでに老年期に入った方がこれから個人資産を作っていくことは難しいですが、

まだこれから老年期を迎える方は資産運用を始めておくことをおすすめします。

 

個人的には、米国株高配当ETFを購入し、

配当所得を確保するのがよいと考えています。

 

介護する側も安心して介護資金に充てることができます。

 

夫婦間でリスクを共有してから始めてみてくださいね。

 

参考書籍

本記事を作成するにあたって参考にした『家族心理学』に関する書籍です。夫婦関係の問題や葛藤が実は夫婦間だけの出来事が原因ではないことがわかる一冊になっています。

 

介護の流れや対策がマンガ形式でわかりやすく解説されている書籍です。

 

最後に

人生最後の課題は『統合』と『介護』です。

 

自分の人生はどのような価値があったのか。

 

そして、人生最大の出会いである配偶者の存在はどのような意味があったのか。

 

ゆっくりと時間をかけて考えてみてください。

 

答えは模範解答があるわけでもなく、客観的な事実は関係ありません。

 

自分自身の心の中にあります。

 

人生の最期にしあわせだったと思えるように、一緒学んでいきたいですね。

 

石谷落果

夫婦・家族関係についてひとりで考えるのがつらいと感じたら、夫婦立て直しカウンセリングを選択肢のひとつとして考えていただけたらと思います
 
必ずあなたの力になります

 

 

これからも一緒にしあわせな家族を目指しましょうね!

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