
はあ、何で夫婦の話し合いってうまくいかないんだろうね。



そんな悲しい顔しないで。夫婦間の話し合いは『影響力』にフォーカスするといいんだ。
皆さんは夫婦間の話し合いがうまくいかずに無駄な時間を過ごしてしまったなと思ったことはありませんか?自分や家族にとって重要な問題ではつい感情的にヒートアップしがち。話し合いをすることで余計にギクシャクして言わなきゃよかったと後悔した経験もあるかもしれません。場合によっては取り返しのつかない事態を引き起こしてしまいます。
とくに、夫婦関係が悪くなっていると『どうせ配偶者とは分かり合えないし!もういいや!』と投げやりってしまうこともありますよね。今回は、夫婦間の話し合いのコツのひとつとして『影響力』に着目したコミュニケーションについてお伝えします。やっぱり、お互いの気持ちが素直に伝え合える夫婦を目指したいでからね。
プロフィール
石谷落果(いしたにらっか)
夫婦カウンセラー
『離婚寸前の夫婦の危機を経験したこと』が夫婦カウンセラーを志すきっかけ。家族心理学をベースに『夫婦関係を立て直すならまずは自分を変える』を合言葉の夫婦カウンセリングを実施中。
夫婦問題は長引くほど立て直しは難しくなります。ひとりで悩まずに、一緒にしあわせな家族を目指しませんか?
夫婦立て直しを始めたばかりの方↓
家族心理学について学びたい方↓
状況別のアクションプラン↓
- 「影響力」に注目することで夫婦の会話が前向きになる
- 感情ではなく事実と影響を伝えることで相手の態度が和らぐ
- 「なぜ?」「どうして?」などの因果関係の追及は逆効果
- 「お互い様」はNG!責任のなすり合いになってしまう
- ネガティブな気持ちも、伝え方を工夫すれば関係改善につながる
影響力にフォーカスして夫婦の話し合いを建設的に進めよう


みなさんは夫婦間の話し合いについてどんな悩みを抱えていますか?夫婦立て直し工場を訪れる皆さんは、話し合いたいことはたくさんあるのに伝えられないことや配偶者に話を聴いてもらえず、途中で喧嘩になってしまうことに悩んでいる方が多いです。
- 話し合いたいことはたくさんあるのに伝えられない。
- 配偶者に話を聞いてもらえない。
- 途中でいつも喧嘩になってしまう。
夫婦間や家族の問題解決がしたいのに、話し合いがうまくいかないとコミュニケーション自体もだんだんと億劫になってしまいますよね。夫婦関係を円滑にするコミュニケーションスキルは様々ありますが、今回は影響力に着目することの大切さと具体的な方法をお伝えします。
影響力に着目して話し合うことは、アサーションというコミュニケーションスキルの一種です。誰でも練習すれば身に付けることのできる技術。夫婦の話し合いを円滑に進めるには覚えておいて損はありません。時間があるときチェックしてみてくださいね。
影響力にフォーカスする最大のメリットはより良い夫婦関係が築けること
影響力にフォーカスして夫婦問題を話し合う最大のメリットは、感情的なコミュニケーションを避け、より良い関係を築くことにあります。たとえば、夫の残業が多く、家族との時間が減っているとしましょう。
多くの人はつい、次のように伝えてしまいます。
- 「残業が多すぎる!」と不満をぶつける
- 「全然家族と会話できてないよ!」と怒りをぶつける
- 「もっと早く帰ってきてよ!」と改善策を提示する
しかしこのような伝え方では、相手は防衛的になり、話し合いになりません。
むしろ、
- 残業のしなければならない弁解を始める
- 話し合いには関係のないあなたの過去の非を持ち出す
- 話が堂々巡りになる
という展開に陥りやすくなります。本題とは少しずれまずが、安定した夫婦関係の土台にはコミュニケーション質と量が関わってきます。家族の時間が減っているということは、コミュニケーションの時間が減って長期的な夫婦関係にネガティブな影響を与えます。要は『一大事』です。



感情をぶつけたり、一方的に改善策を伝えたりしても配偶者は話を聴いてくれないってことね。



配偶者と協力して夫婦関係への影響度を考える必要だね
では、どのようにして影響力に着目して話し合うのでしょうか?
『夫の残業が多く、家族との時間が減っている』という夫婦の悩みを例に挙げてを配偶者と協力して乗り越えるための4つのポイントをお伝えします。
- 影響に関する質問を多用する
- 因果関係を追及しない
- お互いさまは封印する
- 気持ちは素直に言う



うわ、逆のこと結構やりがちかも。



気づかないうちに話し合いが失敗する方法を取っちゃうんだよね。意識して取り組んでみよう。
影響に関する質問を多用して、客観的に状況を把握する
事実そのものよりも、残業で帰りが遅くなることが家族や自分に与えている影響にフォーカスしてみましょう。フォーカスした場合としていない場合を比較しながらチェックしてみますね。
まずは、影響にフォーカスせずに感情をぶつけた場合です。
悪い例:
- 「最近残業ばっかりじゃない!なんでそんなに遅くなるの?」



なにこの言い方、はらたつ~!



典型的なユーメッセージですね。自分に言われていなくても嫌になるよね。
続いては、さりげなく配偶者を労わることで身体的疲労への影響や家族の時間が減っていることに気づいてもらうように促してみましょう。残業が与える家族への影響を一緒に考えるきっかけを作ります。
良い例:
- 「最近、遅く帰る日が続いているよね。疲れが溜まっていたり、子どもと会えなくて寂しかったりしない?」
- 「家族の時間が減っているから来週は早く帰れる日ってありそうかな?」



残業によって家族にとって悪い影響が起こりつつあることが客観的に話せる気がするね。



配偶者には夫や父親以外にも職場でも役割があるからね。職場の役割も尊重しながら影響を探ることも大事だね。
ひとりの人間が行動を変化させるということはその人が持つ社会的役割の数だけ影響が広がります。話し合いをスムーズに進めて夫婦問題を解決できるように、客観的な視点で影響度について意見交換したいですね。
因果関係を追求せずに、現状を良くする方法を一緒に考える
配偶者と話し合うときには、『AがBを引き起こした』『あなたがCを引き起こした』というように因果関係を問うことを避けてください。「あなたが〇〇したからこうなった」と原因を特定する言い方は、相手を守りに入らせてしまいます。
悪い例:
- 「あなたが残業するから家族の時間が減ってると思わない?」
- 「あなたが家族の時間を減らしたから私も疲れるし、家族の雰囲気が悪くなってるって気づかないの?」



こんな言い方されたら配偶者も頑なになっちゃうよね。



因果関係を追及するとどちらかが悪いという話し合いになりがち。責任の所在を押し付け合うようなものでいたずらに対立を煽ってしまうね。
夫婦問題にはどちらかが100%悪いという事例はありません。配偶者の言動は家族からの影響によって引き起こされていることも多いです。自責思考で考えるとどうでしょうか。残業しても家族の時間を減らさない工夫はいくらでもありますよね。家族の雰囲気が悪くなるのは、配偶者の残業が増えたことにネガティブな感情を抱いているからではないでしょうか。配偶者の残業はコントロールが難しいですが、ネガティブな感情をぶつけないことはコントロールできる範囲と言えます。
夫婦問題を話し合うときは、原因探しではなく、「どうすれば現状を少し良くできるか」に焦点を当てるのがポイント。夫婦問題はとても複雑です。問題の原因がたったひとつで解決できるなら誰もが幸せに暮らしているはず。多角的な視点で質問してみましょう。
良い例:
- 「最近帰宅が遅くなる日が多くて、夕食の時間がバラバラになってしまってるよね。どうすれば一緒に食べられる日を増やせるかな?」
- 「帰宅時間が遅い日が続くと、家事や育児が私一人に偏っちゃう日もあるんだ。改善できる部分ってあるかな?」
- 「今の仕事の状況って、いつぐらいまで続きそう?」
- 「会社との調整ってどんな形ならできそう?」



色んな視点で考えてみると、どこかに突破口がありそうだね。



ただし、いくら影響に対する質問でも畳みかけるとびっくりしちゃうから気を付けてね!
仕事が忙しくても残業を減らして欲しい。と配偶者へ原因と対策を求めてしまうのはトラブルの元です。仕事が忙しいのも、家族が経済的に困らないように頑張ってくれているのかもしれません。因果関係を問うのなら自分の行動に問いかけるようにしましょう。
お互いさまを封印し、責任のなすりつけ合いをしない
3つ目はお互いさまの封印です。夫婦問題について話し合っているとき、配偶者に自分の問題点を指摘されたら、あなたはどのように反応しますか?つい、「そっちだって…」と反論したくなることがありますが、それは話し合いの軸を責任の押し付け合いに変えてしまいます。
悪い例:
妻:「最近残業が多いね」
夫:「でも君だって休日に家事を後回しにすることあるじゃん」
配偶者を責めるような言葉が出そうになったら要注意です。本当に解決したいこと、変化させたいことがわからなくなってしまいます。もしも、配偶者に問題を指摘されたら、一度受け入れてから影響についての話し合いに戻りましょう。
良い例:
夫に指摘されたとき:「たしかに私も週末は家事を後回しにすることがあるね。それも問題だけど、今日は残業の件について話し合いたいな」
妻に指摘されたとき:「残業が多いことは改善したいと思ってるよ。まずは残業が続いていることが家族に与えている影響についてこれこれから一緒に考えよう」



お互いさまで思考停止しちゃうと夫婦関係は悪化しそうね



一旦受け止めてから自分の意見を伝えるというコミュニケーションはどんなときにでも役に立ちますよ。
気持ちは素直に伝えるときは主語を『私』にして伝えよう
夫婦問題について真剣に考えるときには、正直に気持ちを伝えることも大切になります。感情を押し殺す必要はありませんが、相手を責める形ではなく「私」を主語にして伝えると衝突を避けられます。
悪い例:
- 「あなたのせいで疲れてる」
- 「いつも私ばっかり大変」



気持ちはわかるけど、感情がとげとげし過ぎてて受け止めづらいよね。
良い例:
- 「残業で帰りが遅い日が続くと、私も心に余裕がなくなってしまう」
- 「もっと一緒に夕食を食べられる日が増えたら嬉しいな」



この言い方なら素直に受け止めることができるね。話し合いもスムーズに進みそう!
「私は〜と感じている」という形にすると、相手は責められていると感じにくく、冷静に聞いてもらえる可能性が高まります。アサーションの技術のひとつ『アイメッセージ』を心がけることで自然と素直な気持ちを伝えられるようになります。
話し合いを「喧嘩のきっかけ」から「関係改善のきっかけ」に変える
ここまで残業の多い夫にどう伝えるのかを例にして、話し合いのコツについてお伝えしました。最後にポイントのおさらいです。
- 影響に関する質問を多用する
- 因果関係を追及しない
- 「お互い様」を封印する
- 気持ちは「私」を主語にして素直に伝える
この4つを押さえるだけで、話し合いは感情的になりにくく、解決策が見つかりやすくなります。アサーションの実践は、夫婦関係の改善に必須です。配偶者が『あなた』と結婚してよかったと思ってもらえるように、『夫婦立て直し工場』を利用してくださいね。
また、アサーションの技術は『夫婦・カップルのためのアサーション』で学ぶとわかりやすいです。
『夫婦・カップルのためのアサーション』を読んでも夫婦関係の中でどのようにアサーションを取り入れればいいのかわからないと感じたら、ぜひカウンセリングサービスを利用してみてください。笑顔に満ちた夫婦の会話が少しでも増やすために一緒に取り組んでいきましょうね。



夫婦・家族関係についてひとりで考えるのがつらいと感じたら、夫婦立て直しカウンセリングを選択肢のひとつとして考えていただけたらと思います。
必ずあなたの力になります。
これからも一緒にしあわせな家族を目指しましょうね!
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