母親から受ける影響。家系の課題は愛着の病

こんにちは!

 

『夫婦立て直し工場』石谷落果です。

 

プロフィール

石谷落果

夫婦カウンセラー

『離婚寸前の夫婦危機を経験したこと』が夫婦カウンセラーを志すきっかけ。家族心理学・認知行動療法に精通し、心理的なサポートから経済的フォローまで多角的な夫婦カウンセリングを実施中。

夫婦問題は長引くほど立て直しは難しくなります。ひとりで悩まずに、一緒にしあわせな家族を目指しませんか?

 

今回は、家系の課題の本質である愛着の病についてお伝えします。

 

配偶者との関係がうまく行かずに悩んでいる方。

 

親になったは良いものの自身と親とうまくいっていなかったため不安という方。

 

そんな方々に読んでいただければなと思っています。

 

石谷落果

夫婦・家族関係についてひとりで考えるのがつらいと感じたら、夫婦立て直しカウンセリングを選択肢のひとつとして考えていただけたらと思います
 
必ずあなたの力になります

 

夫婦立て直しを始めたばかりの方↓

 

状況別の夫婦立て直し↓

 

家族の経済的不安を無くしたい方↓

 

家族の発達課題について学びたい方↓

 

 

目次

母という十字架に苦しんでいる人へ

『母という十字架に苦しんでいる人へ』

 

私が夫婦立て直しを前向きに取り組むきっかけになった『母という病』の帯に書かれていたキャッチコピーです。

 

この本に出会った時の私は、子どもを連れて出て行ってしまった妻を説得するための情報収集に必死でした。

『夫婦修復する〇〇の方法』

『配偶者を説得するテクニック』

はたまた

『再婚しても幸せになる人の特徴』

など対症療法にフォーカスしたその場凌ぎの手法どころか新しい幸せもあるのではないかと考えるなど、精神的なバランスを崩していました。

 

対症療法によるその場凌ぎでは何をやっても妻からいい返事はありません。

 

今になってみれば理由はわかります。

 

夫婦は修復するものではないし、

説得して相手をコントロールさせることはやってはいけないことだからです。

そして、夫婦が破綻した原因がわからないまま、自分が何も変わらないまま再婚を考えても幸せになれるわけありません。

 

当然、妻の返事は会いたくないという意思表示のみでした。

 

もうどうしようもない。

 

そう思っていたとき、ふと目に入った本が『母という病』でした。

この本を読んで私と妻がうまくいかないのはお互いが親との愛着形成に問題があったのではないか?

という疑念が浮かびました。

 

ようするに、『愛着スタイル』の違いです。

 

愛着スタイルについては、別の記事でお伝えしていますのでよかったら、そちらも合わせてお読みください。

愛着問題は家族でクリアしなければならない家系の課題のひとつだと思います。

 

一緒に愛着スタイルとの向き合い方を考えていきましょう。

 

愛着の病の原因は不安定な親との繋がり

私たちが生きづらいと感じる根幹には、親から安定した愛情を受けていたかが大きく関わります。

 

とくに、母親の影響が強いと言われています。

 

生まれてから2歳ごろまでの間に、一生物の愛着=アタッチメントが形成されます。

 

安定した愛着が形成されていれば問題ないのですが、不安定であった場合、ある種の病のように人間関係に影響を与えます。

 

そして、その人が持つ愛着スタイルによっては夫婦関係に様々な大きな影響を与えます。

 

なぜなら『愛着の病』自分が最も近しい人や愛する人に向かうからです。

 

過去に恋人と喧嘩や別れがあったとき、毎回同じような失敗を繰り返しているのではないでしょうか。

 

『母という病』で取り上げられているケースでも、ほとんどが母親からの愛情やスキンシップが不安定だったために引き起こされています。

 

最も愛して欲しかった親から貰った不安定な愛情によって親しい人を傷つけてしまう。

 

なかでも配偶者はゼロ距離の関係性。

 

ある意味で親よりも近い人間関係です。

 

親と上手に築けなかった愛着関係が配偶者とうまく築けるはずがありません。

 

『愛着の病』が配偶者へ向かうのは至極当然と言えます。

 

そして、同時に私たち夫婦の家系の課題でもあります。

 

自分たちの愛着スタイルが子どもへ影響を及ぼし、そのまた子どもへ連鎖します。

 

夫婦関係を立て直すためには、どちらにせよ親や先祖と向き合う必要が出てきます。

 

いかに自分たちの代でせき止められるかが重要です。

 

『幼児期に定着した愛着スタイルだからどうしようもないじゃないか』

 

そう嘆きたくなる気持ちはわかります。

 

しかし、自分が変わるための最初で最後のチャンスにもなります。

 

配偶者という最も近く、最愛の人と愛着関係を築けるかがこれからの人生の本質なのです。

 

まずは、自分と配偶者の愛着スタイルを分類して分析してみましょう。 

愛着スタイルの分類

愛着スタイルは大きく分けて4つ。

名称は子どもの頃と大人になってからで変わります。

①安定(自律)型
②回避型⇒愛着軽視型
③抵抗・両価型⇒とらわれ方、不安型
④混乱型⇒未解決型

安定(自律型)以外は不安定型と言われ、愛着形成に何らのかトラブルや問題があった可能性があります。

また、ほとんどの人は複数のスタイルが混ざり合って愛着形成されています。

診断テストについては、岡田尊司さんの『回避性愛着障害 絆が希薄な人たち』に示されていますので、そちらを参考にしてみてくださいね。

今回は自分がどの愛着スタイルに当てはまるか、何となくのイメージでいいので捉えてください。

次にそれぞれの特徴を示します。

①安定(自律)型

この愛着スタイルは、母親からのたっぷりとしたスキンシップを受けて育つと形成されやすいです。

 ただ、単にそばいるということではなく、応答性感受性が豊かであることが必要です。

 応答性とは、適切にリアクションする能力のことです。声や表情や動きに反応したり、子どもが求めていることを満たし、困っていれば助けることです。

 感受性とは、子どもの気持ちや欲求を感じ取る能力のことです。お腹が空いているのか、オムツを替えて欲しいのか、的確に読み取ってもらえると子どもは親のことを信頼し、一緒にいることに安心感を覚えます。

 安定(自律)型の人は、自分の本心や弱点を他人し見せることに抵抗がないのは、幼い頃のたっぷりな愛情を受けたからです。自分が配偶者へ愛着を持ち、信頼している人が自分をいつまでも裏切らず、受け止めてくれることを信じることができます。

 何があっても配偶者は裏切らないそう思えることは何よりも幸福です。

②回避型⇒愛着軽視型

 この愛着スタイルは、母親からの関心が薄かった場合や複数の人に育てられた場合に引き起こされます。

「母と子の1体1」で安心と信頼を育むことご重要なのですが、母親がうまく安全基地として形成されなかった場合に引き起こされます。

 回避型(愛着軽視型)の人は深い人間関係の構築が苦手です。

 親以外の対人関係においても表面的で、冷淡で、あまり親密になるのを好みません。距離が縮まりすぎると居心地悪く感じます。自分の大切な人が痛みを感じていても、平然としています。人間関係よりも物や仕事に関心が高いです。

 よって、回避型愛着スタイルの配偶者が、自分が困っているときに優しくしてくれないのは、意地悪やあなたのことが嫌いでそんな態度をとっているわけではないのです。

 自分と配偶者を切り離して考えてしまう癖のせいです。そして、どうしていいかわからないと苦悩しているはずです。

 ほとんどの場合、悪気はありません。

 私自身は回避型の傾向が強いです。配偶者の問題は配偶者自身の問題であり、自分が深入りすることではないと考えがちです。

 また、1人の時間は絶対に欲しいと思うタイプです。

 配偶者が困っていても、自分が手を出していいのかわからない。何に困っているのかピンとこない。と言うように人間関係に冷淡であるというよりも、親密行動を取るのが苦手といったイメージを持ってもらえると助かります。

 もしも、助けが欲しいのなら素直な気持ちを伝えてみましょう。その際はアサーティブコミュニケーション(リンクはこちら)忘れないでくださいね。

 また、回避型の傾向がある方へのアドバイスができるとすれば、配偶者は自分が想像しているよりもずっとあなたの助けを求めているということです。

 夫婦は一心同体です。所詮他人だと切り離さずに自分の分身、一部だと思って接してくださいね。

③抵抗・両価型⇒とらわれ型、不安型

 この愛着スタイルの人は親に対する否定的な感情を今も引きずっています。そのため、大切な人からいつか見捨てられるのではないかという不安が強く、大切に思っている人に対しても、相反する気持ちを持ったり、批判的で攻撃的な態度をとってしまいやすいです。

 そして、なぜそのような反応をしてしまうのか、自分でもわかりません。

 記憶にもないくらい幼い頃に、傷ついた体験があったと考えられます。

『母という病』に限って言えば、最も苦しんでいる愛着スタイルのひとつです。

 配偶者に嫌われてしまうのを恐れて自分の意見が言えなくなってしまったり、どうにか繋ぎ止めようと要求を飲み過ぎてしまい、対等な夫婦関係を保てなくなります。

 また、配偶者への期待と理想のギャップにより、自分が愛されていないと妄想してしたり、求め過ぎて夫婦関係が壊れます。

 どちらにせよ、ストレスが蓄積されて、爆発します。

 不安型の傾向がある方はメンタルコントロールが必須です。悩みや不安は自分自身が生み出していると自覚することが安定した愛着スタイルへの一歩となります。

④混乱型⇒未解決型

 このスタイルの人も回避型と比べて、『母という病』に苦しんでいます。

 とらわれ型と異なるのは、親との離別や悲しい体験を今も抱えている人のうち、その出来事をはっきりと覚えているという点です。

 そのことを考えると、冷静でいられないくらい気持ちが辛くなってしまいます。

 家系の課題が浮き彫りになりやすいスタイルです。

 課題がはっきりしやすい分、愛着スタイルを安定させるのは比較的容易だと考えがちですが、スタイルが複合するためより難しくなります。

 大きく分けて、未解決・とらわれ型と未解決・回避型の2種類が存在します。

①未解決・とらわれ型

 未解決型ととらわれ(不安)型が併存しているスタイルです。未解決な心の傷が絡むできごと以外の対人関係全般において、傷つきやすく、過剰反応しやすい傾向があります。しかし同時に、孤独には耐えられず、依存できる人を求めていて、実際、配偶者を依存対象としてすがって生きている人が多いです。

 例えば、配偶者が自分の思い通りにならないと、依存しているはずの配偶者へ攻撃するという行動パターンをとります。

 また、親との関係性はは不安定で、表面的には仲が良さそうに見えても、どこか歪で、親と会うたびに自分が愛されていないと感じて落ち込んでしまいます。

 ひどい場合には、些細なことがきっかけで、気分や態度が変動します。情緒不安定で、自分を損なうような自己破壊的な行動を取ってしまいます。

 

②未解決・回避型

未解決・回避型は、未解決の出来事を引きずりながら、人と距離をとることでバランスをとろうとするスタイルです。

 誰にも気持ちを許さずに、甘えることもできません。

 ただし、純粋な回避型とは異なり、他人の反応や顔色が過度に気になってしまう側面も持ちます。

 他人と深い人間関係を構築すると、また嫌な思いをするのではという不安や恐怖のため、他人と親密な関係をもつことが苦手です。

 つまり、本来は回避型ではなかった人が、不安定な親との愛着により、自分を守るために回避的行動をとるようになったのです。

 ゆえに、相手が自分を受容してくれる存在だと確信できると、このタイプの人は、心を開き、つながりをもつことができます。

 未解決・とらわれ型、未解決・回避型のいずれの愛着スタイルにおいて最も効果的な対策は『安全基地』となる人に出会うことです。配偶者がこのスタイルであれば、自分が『安全基地』となることです。

 不安定な親や家庭がその人の『安全基地』となれなかっために、人間関係の中で、心が常に危険に晒されている状態です。その危険から守ってあげるしかないのです。

愛着は大人になってからも修復できる

 以上が愛着スタイルの分類と対策です。

 愛着スタイルの形成は、2歳ごろに出来上がってしまう取り返しのつかないことといった印象はあるかと思います。

 遺伝子から分析しても、欧米人が愛着に鈍感なのに対して、アジア人は愛着への不安感や恐れを感じやすいタイプが多いそうです。

 しかし、自分自身が不安定な愛着スタイルだったとわかっても、諦める必要はありません。

 母との愛着形成が不安定であっても、それを自覚することができれば、自分の行動が俯瞰できると思います。

 私自身も回避型の傾向があるなと生活の節々で感じます。

『今、人と関わるのを面倒くさがっているな』

『妻が助けを求めているのを遠い所から見てしまっているな』

 私が妻と関係性が破綻したのも愛着を軽視していたからでした。

 妻との関係性も安定した愛着スタイル同士の組み合わせとはどうしても劣ってしまうのは事実です。

 だからこそ、知る意味と価値があります。

 安定型の人だったらこんな行動を取るだろうか。

 配偶者を自分が死ぬその時まで信じ抜くことができるだろうか。

 様々な課題が発生すると思いますが、自分の理想とのギャップを俯瞰して、実践できることはとにかく挑戦していきましょう。

 課題や悩みを俯瞰することは安定したメンタル、アタッチメントを得るために最適な方法です。

結論:配偶者が最後の安全基地

 様々な愛着スタイルについて簡単に説明しました。

 結論は、配偶者が不安定な愛着スタイルであったなら、自分が『安全基地』となりましょうということです。

 たとえ親が不安定な愛着スタイルを持っていても、子どもと安定した愛情で関わることができれば、子どもは安定した愛着を育むことができます。

 心に様々な傷を抱えていたとしても子どもだけにはいつも愛情深い親でいようと決意して、実行することができれば、子供と安定した関係を築くことができます。

 配偶者に対しても同じです。

 産まれたばかりの乳幼児とは、難易度は異なりますが、自分自身が配偶者を絶対に裏切らないと誓い、安定した愛情を与え続けると決意し、実践することで安定した愛着形成は可能です。

 安全基地がない故の不安定です。

 自分自身が不安定な愛着スタイルでも、変わることは十分にできます。

 私自身も安定型の愛着スタイルではありません。

 まずは、瞑想ストレスコントロールを行いましょう。自分の感情を切り離して感じ取ることができるようになります。

 かつては、自分の思い通りにいかない配偶者の態度に苛立つこともたくさんありました。

 今でも、『配偶者の欠点すら愛おしいというラブラブ状態』ではないので、意見が対立する場面はいくらでもやってきます。

 しかし、『母という病』は自分が不安定な愛着スタイルでも、配偶者の安全基地となることは可能です。

 苦しい時は、自分自身が配偶者と結婚した意味を考えてみましょう。

 未解決である家系の課題をクリアするため。

 親から安定した愛情をもらい損ねた配偶者の安全基地になるため。

 理由は様々ですが、その決意の先には本当の夫婦と幸せがあるはずです。

 夫婦がお互いに支え合えばいいのです。

 一緒に前向きに挑戦していきましょう。

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