【夫婦カウンセラーが伝えたい】子どもを心身健康に育てるために夫婦ができること〜家族の発達課題④〜

こんにちは!

 

『夫婦立て直し工場』の石谷落果です。

 

プロフィール

石谷落果

夫婦カウンセラー

『離婚寸前の夫婦危機を経験したこと』が夫婦カウンセラーを志すきっかけ。家族心理学・認知行動療法に精通し、心理的なサポートから経済的フォローまで多角的な夫婦カウンセリングを実施中。

夫婦問題は長引くほど立て直しは難しくなります。ひとりで悩まずに、一緒にしあわせな家族を目指しませんか?

 

小学生に上がれば、子育ても少しは楽になる。

 

と思っているけれど相も変わらず家族にとって変化は続きます。

 

コントロールできない範囲が急激に広がるため、実は1番難しい時期なのでは?と私は感じました。

 

石谷落果

夫婦・家族関係についてひとりで考えるのがつらいと感じたら、夫婦立て直しカウンセリングを選択肢のひとつとして考えていただけたらと思います
 
必ずあなたの力になります

 

夫婦立て直しを始めたばかりの方↓

 

状況別の夫婦立て直し↓

 

家族の経済的不安を無くしたい方↓

 

家族の発達課題について学びたい方↓

 

 

目次

子どもを心身健康に育てるために

小学校にも上がったし、

子育ても一息つけるなあ。

 

仕事や趣味に復帰でもしようか。

 

と考える親は多いかもしれません。

 

かつては、児童期は子ども自身が自立し始めることで親の養育負担はぐっと減る。

 

そして、親たちが安堵するひと時と期待されていました。

 

しかしながら、現代では穏やかな安定期と言い切れません。

 

括れない問題や葛藤が紛れ込むようになりました。

 

主な問題や葛藤の要因は↓です。

児童期の発達課題
  • 環境移行と家族以外とのつながり
  • 心身の成長と加速現象
  • 学校は頼れない

 

児童期の家族に潜む問題や葛藤を順番に見ていきましょう。

 

環境移行と家族以外との繋がり

児童期になると、

子どもは『環境移行』、親は『家族システムの開放』が最大の発達課題となってきます。

 

『環境移行』とは、1つの環境から別の環境に移行するときに人が体験する物事を指します。

 

子どもが幼稚園・保育園から小学校という環境へと移行するのも『環境移行』の一種。

 

小学校は幼稚園や保育園とは異なり、

遊びの場から学びの場へと変化します。

 

また、教師という存在のもとにひとつのクラスとなって共同体を作っていきます。

 

そして、ひとりで学校に通い、

クラブ活動や友だち同士の交流など自分の意思で行動することが増えていきます。

 

つまり、今までは家族という閉じたシステムの中で守られながら生きてきた子どもが外の世界へとつながりを持ち始めます。

 

同時に親も、閉じていた家族を状況判断しながら少しずつ開いていく必要に迫られます。

 

子どもが自立し独自のコミュニティを構築していくために、適切に家族を開放する。

 

そして、柔軟性を保つことが大切になるのです。

 

家族のシステムを把握する

適切に家族を開放し、柔軟性を保つには↓事柄を知ることが重要になってきます。

  • 家族システムのスタイルを把握すること。
  • 家族システムの開放の仕方を知ること。

 

家族心理学におけるシステムとは、『あるまとまりをもった集団』のこと。

 

家族も一緒に生活をしている生物体システムのひとつです。

 

本来、家族は祖父母、親戚等へ人間関係が開かれたシステム。

 

周囲の環境から情報を得たり、物を取り入れたりして排出したりしています。

 

しかし、幼児期の家族は子育てのために若干堅固に閉じている状態。

 

子どもが児童期になったら、

外部からの強く大量の影響によって変化する自由や自立を与えることが大切です。

 

親にとっては、

子どもに対する『安全への配慮』と『自由と自立』を天秤にかけて判断の機会が増えることに。

 

また、家族という小さな社会を開いていくには、

自分たち家族がどのような特性を持つ家族なのかを把握していることが前提になります。 

 

システム間の境界について

ではどのように家族の特性を理解すればいいのでしょうか。

 

具体的には、システムやサブシステムを区切るための抽象的概念である『境界』について考える必要があります。

 

境界には、『明瞭な境界』『あいまいな境界』『固い境界』の3種類があります。

境界の種類
  • 明瞭な境界
  • あいまいな境界
  • 固い境界

 

家族に関する決め事・ルールや情報の共有レベルに境界の個性が表れます。

 

明瞭な境界

『明瞭な境界』とは、

家族の情報がほどよくオープンで、

程よくクローズされ守られている状態のことを指します。

 

とても健康的な境界です。

 

家族旅行の計画を例に出して考えてみましょう。

 

家族全員で旅行先を考えるにあたって、

両親は家計の情報を共有し、支出の決定権を持ちます。

 

子どもは家計については知らされてないが、どこに家族全員で遊びに行くかは親子で話し合って決める。

 

このように、親は経済状況までを踏まえて家族旅行の計画を立てます。

 

対して子どもには経済状況の心配までさせる必要はありません。

 

家計の情報までは与えずに、行きたい場所ややりたいことを話し合います。

 

このように子どもとの間でどの情報を共有していくかの線引きが明確である境界を『明瞭な境界』とされています。

 

あいまいな境界

一方、『曖昧な境界』の場合、問題解決にあたり、誰がどのような役割を取るかが不明確です。

 

不明確であるため、相互に巻き込み合い混乱状態になりやすいです。

 

例えば、先ほどのように経済状況について考えてみてください。

 

親が親の責任によって多額の借金していて、借金の事実を子どもまで知っている。

 

ゆえに、返済について一緒に心配し、アルバイトをして借金を肩代わりしている。

 

そして、進学先や就職先を自ら制限してしまう。

 

このように、親の責任や課題であることも一緒になって心配し責任を持たされていると『あいまいな境界』と呼ばれます。

 

『あいまいな境界』を多く持つ家族を『纏綿家族』といいます。

 

纏綿家族の中で子どもが育つと情緒発達・自主性・自律性が妨げられます。

 

また、ひとりひとりが自立せずに共依存関係に陥いることも。

 

うつ病や強迫性障害などの神経症レベルの病理を持つ家族が生まれやすくなります。

 

固い境界

逆に『固い境界』をもつと、家族がバラバラで情報が共有されることがありません。

 

お互いに支え合う関係性が損なわれます。

 

個人間の境界が固すぎる家族を『遊離家族』といいます。

 

『遊離家族』では、家族に対する所属感が形成されないため、

外のコミュニティへ所属感を求めるようになります。

 

家族のかたちはグラデーション

境界のバランス感によって家族のかたちも変わってきます。

 

家族のかたちはグラデーションです。

 

家族の全てのルール・事柄において『固い』『あいまい』に傾いているわけではありません。

 

親から受けた影響によって、そうするべきだと思い込んでいるケースも多々あります。

 

まずは、自分と配偶者の生まれ育った家族それぞれの『明瞭さ』『固さ』『あいまいさ』を比較してみるといいかもしれませんね。

 

 

小学校に対して、自分たち家族を適切に開こう。

児童期は家族以外とのつながりが急激に増えていきます。 

 

とくに子どもの発達へ影響が強いのは、小学校という新しい環境。

 

家族の特性によっては、小学校というコミュニティに馴染めない可能性もあります。

 

例えば、家族がそれぞれマイペースで動く『遊離家族』で育った子どもは、

団結を重んじ同一行動を強要する学級の中で息苦しさを感じる可能性が高いです。

 

反対に凝集性の高い共同体意識や一蓮托生というような考えを持つ『纏綿家族』で育った場合は、

独自性を推奨する教師や学級によそよそしさを見てしまいます。

 

私たちは、家族文化と学校文化の間のギャップを把握して埋める必要があります。

 

また、小学校は担任教師の影響力がとても強いコミュニティ。

 

担任の判断で、

規律性やクラスの結束を大切さを重視するか、

個人の尊重や自由な学びの環境を重視するか、

それぞれ大きく変わってきます。

 

子どものコミュニティへの感じ方は多種多様。

 

小学校の担任教師の質をコントロールすることはできません。

 

家族を開いていくのと同時に、

小学校が社会の全てではないことを子どもに伝えていくことが親の大切な課題となります。

 

心身の成長と加速現象

発達心理学者のエリク・H・エリクソンは、児童期の心理的・社会的な発達課題とは勤勉性vs劣等感ととらえられています。

 

勤勉性と劣等感

勤勉性とは、

『努力すれば自分なりにこなしていける』

『成果をあげることができる』

と効力感を抱くこと。

 

劣等感とは、

『努力しても仕方がない』

『自分には力がない』

と他人より劣っていると意欲を失うような感覚のこと。

 

児童期の心身の成長は、

『自分ならできる』と『どうせできない』のせめぎ合いの中で行われます。

 

発達加速現象

また、現代の子どもの第二次性徴期の早さも心身の成長へ影響しています。

 

小学校高学年になると、

第二次性徴期が始まる子どもたちもちらほらと現れます。

 

一方で、中学校になるまで第二次性徴が始まらない子もいます。

 

そのため、小学校高学年は心身の発達に差が生まれ、個人差が生まれやすい環境。

 

成長が緩やかなだけなのに、劣等感を覚えてしまうケースもあります。

 

早生まれの劣等感がいい例でしょう。

 

さらに、問題なのは成長早い子と遅い子が一緒に過ごすことで、

思考能力や情緒が未発達なまま、思春期的な社会に巻き込まれてしまうこと。

 

本来はたっぷり時間をかけて進行するはずだった発達課題の達成や十分な成長に与える影響を考える必要があるかもしれません。

 

学校は頼れない

子どもが安心して成長するために、是非とも学校には頑張ってほしいと思うかもしれません。

 

しかし、基本的には学校に頼ることはほとんど無理だと考えていた方がよいです。

 

日本の教師はすでにサービス残業を繰り返し、疲弊しています。

 

民間企業では考えられないような労働環境で子どもたちと向き合っている状態。

 

そのため学校に対して、それぞれ子どもにあった教育や接し方を望むのは、物理的に不可能です。

 

小学校へ子どもの発達や成長を依存するのは黄色信号。

 

親が家族システムの中と外のバランスを取ってあげることが大切になります。

 

 

家族移行期に親ができること

では結局のところ、私たち親にできることは一体なんなのだろうと思いますよね。

 

親にできることは大きく分けて3つ。

家族移行期にできる親の取り組み
  • 子どもの声に耳を傾けること
  • 環境の広がりと多様性を伝えること
  • 安全基地となること

 

子どもの声に耳を傾けること

環境移行によって、子どもの価値観や物事の見方は大きく変化します。

 

夫婦が独身期新婚期に築いた理想の家族の在り方を望まなくなる可能性もあります。

 

価値観は人それぞれ違います。

 

子どもも同じです。

 

夫婦の価値観に子どもが従う必要はまったくないのです。

 

私たちは子どもの声に耳を傾けていくことを求められます。

 

とにかく好奇心と行動力を押さえつけないような接し方が大切。

 

身の危険や犯罪につながるような行動さえ防げれば、進みたい方向へと走らせてしまうのも子育てのひとつです。

 

子どもが興味を持ったことをサポートすることを第一とするモンテッソーリ教育を参考にしてみるのもいいかもしれませんね。

 

また、子どもの声に耳を傾けることは、

人間関係のトラブル対応へも役立ちます。

 

例えば、『学校へ行きたくない』という児童期に抱えやすい問題と葛藤は、

子どもの声を聴かなければ、本質的な解決はできません。

 

学校に行きたくない理由はさまざまです。

  • 勉強についていけないのか。
  • 他にやりたいことがあるのか。
  • 担任教師の方針と合わないのか。
  • いじめに遭っているのか。
  • 恋愛関係に悩みがあるのか。

 

そして、いずれの理由も親が安全基地として機能し、子どもの心理的安全性が保たれていなければ、

正確に知ることはできません。

 

子どもが安心して自己開示できるように、

子どもの声に耳を傾けてあげてくださいね。

 

環境の広がりと多様性を伝えること

子どもの声に耳を傾けると同時に、

環境の広がりと多様性を伝えていくことも親ができることのひとつ。

 

子どもにとっては、

今までは家族関係で閉じられていた環境が小学校へ広がります。

 

自分が自立し、これまでになかった人間関係の中で過ごしています。

 

小学校は学びの場であるため、自分の能力の相対的に感じやすいです。

 

さらに、成長速度がそれぞれ違うために優越感や劣等感を覚えることも。

 

そして、最大の問題は学校という環境がコミュニティのすべてだと思い込んでしまうこと。

 

大人からすれば、学校は人生における沢山あるうちのコミュニティのひとつ。

 

しかし、子どもたちからすれば、学校での評価や人間関係がすべてに感じられてしまいます。

 

児童期のコミュニティの場は、クラブ活動・地域活動・習い事など多岐にわたります。

 

また、根拠のない自己肯定感を育んであげることも大切です。

 

やりたいことや興味のあることを存分に体験させて、成長や努力を褒め続けましょう。

 

心の安全基地となること

最後に『心の安全基地』についてです。

 

実は、

子どもの声に耳を傾けるためや環境の広がりを伝えるためには、

子どもが親を安全基地として認識していることが求められます。

 

『学校へ行きたくない』という問題も、

子どもが本心を話してくれなければ本当に解決してあげることは困難。

 

環境の広がりについても同様です。

 

家族は最も身近なシステムでありコミュニティです。

 

その家族が安心できる場所と子どもが認識していなければ、新しい環境へ冒険する勇気を持てません。

安全基地の三原則は、↓の3つ。

心の安全基地の三原則
  • 安全感
  • 応答性
  • 共感性

 

この人は一緒にいても傷つけられないと思ってもらうこと。

 

求められたら迅速にに応える姿勢を持つこと。

 

そして、何を感じ、何を求めているのかを考えて共感すること。

 

夫婦関係においても『心の安全基地』を形成するのはとても大切。

 

加えて、子どもにとっても『安全感』『応答性』『共感性』を高めていきましょう。

 

 

参考書籍

本記事を作成するにあたって参考にした『家族心理学』に関する書籍です。夫婦関係の問題や葛藤が実は夫婦間だけの出来事が原因ではないことがわかる一冊になっています。

 

愛着スタイルと心の安全基地について漫画でわかりやすく解説された書籍です。夫婦間と親子間の両面から愛着スタイルも心の安全基地について知りたい方はぜひ読んでみてくださいね。

 

親子間のコミュニケーションについて『モンテッソーリ教育』と『レッジョ・エミリア教育』を基に紹介された書籍です。褒め方や叱り方について悩んでいる方はおすすめの一冊です。

 

最後に

児童期の家族は自立した大人2人の関係に、

これから自立していく子どもが混じり合あことで複雑さを増してきます。

 

家族のかたちはそれぞれ違います。

千差万別だからこそ、違いを客観的に知ることが大切。

 

明瞭な境界を持ち、

広がる環境に対して、適切に家族を開いていくことが親の役割になります。

 

親が子どものためにできることを思い返しながら、日々の成長を楽しみたいですね。

家族移行期にできる親の取り組み
  • 子どもの声に耳を傾けること
  • 環境の広がりと多様性を伝えること
  • 安全基地となること

 

石谷落果

夫婦・家族関係についてひとりで考えるのがつらいと感じたら、夫婦立て直しカウンセリングを選択肢のひとつとして考えていただけたらと思います
 
必ずあなたの力になります

 

これからも一緒にしあわせな家族を目指しましょうね!

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