こんにちは!
『夫婦立て直し工場』の石谷落果です。
プロフィール
石谷落果
夫婦カウンセラー
『離婚寸前の夫婦危機を経験したこと』が夫婦カウンセラーを志すきっかけ。家族心理学・認知行動療法に精通し、心理的なサポートから経済的フォローまで多角的な夫婦カウンセリングを実施中。
夫婦問題は長引くほど立て直しは難しくなります。ひとりで悩まずに、一緒にしあわせな家族を目指しませんか?
今回は、
『アスペルガー症候群の夫とカサンドラ症候群になってしまった妻』
の話から学ぶ夫婦立て直しのポイントをご紹介したいと思います。
私たちには関係ないんじゃない?
とい思う方もぜひ一度考えていただければ幸いです。
夫婦・家族関係についてひとりで考えるのがつらいと感じたら、夫婦立て直しカウンセリングを選択肢のひとつとして考えていただけたらと思います。
必ずあなたの力になります。
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参考書籍
今回は、野波ツナ氏著、宮尾益知氏監修の『旦那さんはアスペルガー』を参考にしています。
全編マンガなのでとても読みやすくて、オススメです。
アスペルガー症候群の夫と正常発達の妻のコミュニケーションを妻視点から綴った書籍です。
『うわ、これは大変だなあ』と思う一方で、『ちょっと心当たりあるぞ』と感じるシーンがあるはずです。
アスペルガーとは発達障害の一種で特別なケースのように感じますが、夫婦立て直しのヒントがたくさん詰まっていました。
程度の差はあっても、配偶者は他人で自分とは違う価値観や性質を持っていますからね。
アスペルガー症候群の夫とカサンドラ症候群の妻から学ぶ夫婦立て直しのポイントは、以下の3つです。
- 発達障害はグラデーションであり、誰もが障害のような個性を抱えている
- 女性のアスペルガー症候群も存在する
- 配偶者を深く知ることは、自分を知ることにつながる
まずは、アスペルガー症候群とカサンドラ症候群ついて簡単に説明しますね。
アスペルガー症候群
話の前提として、
そもそも、『アスペルガー症候群』って何?
と疑問に思った方もいるかもしれません。
アスペルガー症候群とは、自閉症(広汎性発達障害)の1タイプ。
知的な遅れはなく、
- 人との社会的関係を持つことの障害
- コミュニケーションを持つことの障害
- 想像力と創造性の障害
を持つことでアスペルガー症候群と認められます。
特徴としては、
- 日常生活がルーティン化している
- 共感能力が低く、コミュニケーションが苦手
- 特的のカテゴリーに極端に熱中してしまう
などの挙げられ、周囲との人間関係が困難になってしまうことがあります。
深く付き合っているとちょっと変わった人だなあと感じる一方で、何かに没頭している姿や少しミステリアスな雰囲気が魅力的に見えてしまうことも。
そのため、アスペルガー症候群であることに、盲目状態の恋愛関係では気づけません。
結婚してから始めて、配偶者がアスペルガー症候群であることを知ります。
そして、アスペルガー症候群の配偶者は、コミュニケーション不全や周囲からの理解の無さから精神疾患を患ってしまうケースがあります。
そのような状態になることを『カサンドラ症候群』といいます。
カサンドラ症候群
具体的にカサンドラ症候群とは、
- 配偶者が自閉症やADHDである
- 夫婦間の交流や感情の交流が乏しい
- 本人に鬱やパニック障害を発症している
という3つの条件が認められると診断されます。
配偶者が発達障害であることを理解できずにコミュニケーション不全を起こしている。
周囲の知識不足により、周囲の協力や共感を得られない。
その結果の自律神経失調症、鬱病、パニック障害を引き起こしてしまいます。
配偶者とうまく意思疎通ができないことによる苦しみは、夫婦立て直し中の皆さんならイメージがつくかと思います。
夫婦立て直しに役立つポイント
さて、ここからは配偶者がアスペルガー症候群である状況から、夫婦立て直しに役立つポイントを紹介していきます。
主には以下の3つです。
- 発達障害はグラデーションであり、誰もが障害のような個性を抱えている
- 女性のアスペルガー症候群も存在する
- 配偶者を深く知ることは、自分を知ることにつながる
発達障害はグラデーションであり、個性である
アスペルガー症候群の特徴について眺めてみると、
実は、誰もが抱える人間関係の悩みを表していることがわかります。
『人との社会的関係が完璧!』
『他人の心が手にとるようにわかるから誰も傷つけたことがない!』
『共感力、想像力に自信がある!』
という方はなかなかいないのではないでしょうか。
『配偶者の気持ちを察することができずに怒らせてしまった』
『自分やりたいことばかり優先してしまっていた』
『いつも同じことで指摘される』
というように、アスペルガー症候群に関する書籍や情報を読んでいると、自分もアスペルガー症候群なのでは? と思うことの方が多いかもしれません。
私自身も時々、自分がアスペルガー症候群ではないかと感じる場面があります。
もちろん、本当にアスペルガー症候群である可能性は捨てきれません。
一方、私は配偶者や子どもを思いやる気持ちを持ち合わせているつもりですし、参考書籍の夫のような極端な性格ではないことは確かです。
けれど、配偶者とは何かが違っていて、コミュニケーションに不具合が生じる。
このコミュニケーション不具合の原因は『発達障害がグラデーションであること』だと思うのです。
もう一度、アスペルガー症候群の3つの特徴について考えてみてください。
- 人との社会的関係を持つことの障害
- コミュニケーションを持つことの障害
- 想像力と創造性の障害
発達障害と診断されるほどではないが、どれか苦手なことがある、とほとんどの方に思い当たる節があるはずです。
知的障害が知能指数によって大まかに区分けされているように、発達障害にもグレーゾーンがあります。
他人よりちょっと苦手だけど、発達障害ではない。
最早、苦手という感覚さえも、その人独特の個性だと言えるのではないでしょうか。
もし、個性として捉えないとした場合、
乱暴なことを言い方をすれば、IQの高い人から見た中央値の人たちは、理解度が低く、応用も効かないうえに、返答も遅いし、的確ではない、
つまり、発達障害だということになってしまいます。
あまりにも極論ですが、夫婦間でも得意不得意の差は存在しますよね。
ようするに、誰もが障害を抱えているため、夫婦関係において、
- 自分ができて配偶者ができないこと、
- 自分では伝えたつもりでも配偶者には伝わっていないこと、
- 自分と配偶者の間で理解度に差があること
というようなコミュニケーションの不具合は、どんな人間同士であっても山のように存在している。
よって、誰もが何かしらの障害を持っていて、できないものはできないんだと受け入れることが夫婦立て直しには重要です。
女性のアスペルガーも存在する
次に夫婦立て直しで知っておくべき要素として、女性のアスペルガーの存在です。
書籍やネットを調べてもアスペルガー症候群の情報は男性に目を向けられたものが多いです。
参考書籍も夫がアスペルガーだった経験をもとに出版されています。
なぜ、男性のアスペルガー症候群ばかりが取りあえげられているかというと、男性のアスペルガー症候群は外在化症多く、二次障害が少ないです。
男性の場合は、アスペルガー症候群の本人よりも、周囲の人間が悩まされるのです。
- 人間関係が苦手
- 共感能力が低い
- ひとつのことに没頭する
アスペルガー症候群の特徴は、男性的な脳の特徴でもあり、型にハマれば世の中に突出した成果を出します。
一方、女性のアスペルガー症候群は、特徴が男性とは異なります。
そして、女性のアスペルガーはカモフラージュが上手で社会に溶け込んでいるように見えるため世間に注目され辛いのです。
理由としては、女性社会は男性社会よりも共感や集団行動を求められるからです。
共感能力が通常よりも劣っているのに、周囲に合わせなくてはいけない経験が多く、経験則的に対応したり、口数を少なくしたりするため、子どものころは『大人しい子』、『お淑やかな子』、『優等生』といった評価受けます。
そのため、大人になるまで発達障害とは認識されにくいのです。
しかし、女性の場合は常日頃から自分の発達障害を隠すような生き方をしているため、精神的な負荷がかかり続けています。
負荷がかかり続けた結果、二次障害の鬱、パニック障害、社交不安、強迫性障害などを引き起こします。
ここで重要なのは、
男性がアスペルガー症候群であった場合、比較的本人は平然としていて、周囲の人間が困る傾向がありますが、
女性がアスペルガー症候群であった場合、女性本人が精神的に負荷がかかり二次障害を引き起こす傾向が高いということです。
よって、誰もが障害を持っているという先程のことを前提に考えると、夫婦間でコミュニケーションに問題が発生すると、
男性側は気づかない。
女性は精神的に負荷がかかり、心身に支障をきたすことになります。
また、
男性が原因で夫婦のコミュケーション不全に陥る場合はわかりやすい。
一方で、女性が原因であった場合は二次障害が発生するため、夫婦のコミュニケーション不全がわかりづらく、精神疾患を抱えてしまうため修正しづらくなります。
なので、立て直しを目指す男性は妻が親しい人とそれ以外の人で性格が大きく違ったり、仕事や友人と出かけた後に充実していたはずなのにひどく疲れているように感じたりしたら、配偶者は発達障害なのかもしれません。
意識して観察してみてください。
本当の自分を隠して、いつか爆発してしまう前に、心から配偶者を受け入れることが必要です。
女性は、夫婦間のコミュニケーションに悩んだら、アサーティブに配偶者へ伝えると効果的です。
相手に悪意があるわけでなく、本当にわからないだけなら、早期に立て直しに向かうことができます。
配偶者を深く知ることは、自分を知ることにつながる
最後に『配偶者をよく知りましょう』という、他の記事でも繰り返していることをお話しさせてください。
カサンドラ症候群に苦しむ方のなかには、
- 配偶者よりも程度は軽くても自分自身も発達障害であった。
- 配偶者の本質を見抜く能力がなかった。
- 過去のトラウマのせいでコミュニケーションの乏しい人を無意識に選んでいた。
- 家系を辿ると苦手だった親と同じような人に惹かれていた。
というように、自分自身がアスペルガー症候群であるがゆえに、夫婦間のコミュニケーション不全を招いているにも関わらず、配偶者のせいにしてしまい思考停止していたケースもあります。
夫婦関係において、絶対に配偶者だけが悪いわけではないということですね。
自己省察をして、自分が変えられることは変えていかなければなりません。
そのためにも、配偶者を深く知ろうとすることが大切です。
配偶者が正しかった部分を正確に把握しないと、自分を変えるのも難しいですからね。
最後に
今回は、アスペルガー症候群とカサンドラ症候群をテーマに、夫婦立て直しのポイントを考えてみました。
大なり小なり、誰にでも得意不得意はあります。
もしかしたら、今の夫婦問題は自分にも非があるのではないか。配偶者の個性を受け入れられていないだけではないか。
という思考を巡らせるきっかけになれば嬉しいです。
幸せな夫婦を目指して一緒にがんばりましょうね!
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