夫婦カウンセラーが伝えたい。ひとりで生きていく力を身に付けるには?〜家族の発達課題①〜

こんにちは!

 

『夫婦立て直し工場』石谷落果です。

 

プロフィール

石谷落果

夫婦カウンセラー

『離婚寸前の夫婦危機を経験したこと』が夫婦カウンセラーを志すきっかけ。家族心理学・認知行動療法に精通し、心理的なサポートから経済的フォローまで多角的な夫婦カウンセリングを実施中。

夫婦問題は長引くほど立て直しは難しくなります。ひとりで悩まずに、一緒にしあわせな家族を目指しませんか?

 

今回は、家族の発達課題のひとつである

『ひとりで生きていく力の確立』についてお伝えします。

夫婦間の初期のトラブルは自分自身が、

経済的、心理的に源家族(生まれ育った家族)から自立していないために発生することが多いです。

 

そして、熟年離婚に向かってしまう小さな問題や

葛藤の積み重ねを作ってしまう原因でもあります。

 

夫婦関係を立て直したいと思ったら、過去へ遡って葛藤や問題の根本原因を探ることはとても大切です。

 

何歳からでも役に立つ知識となっていますので、一緒に学んでいきましょう!

 

石谷落果

夫婦・家族関係についてひとりで考えるのがつらいと感じたら、夫婦立て直しカウンセリングを選択肢のひとつとして考えていただけたらと思います
 
必ずあなたの力になります

 

 

夫婦立て直しを始めたばかりの方↓

 

状況別の夫婦立て直し↓

 

家族の経済的不安を無くしたい方↓

 

家族の発達課題について学びたい方↓

 

 

目次

ひとりで生きていく力の確立

若い成人期は生まれ育った家族も経済的にも心理的に依存しているわけではありませんが、

幼いようなこどものように親に保護されているわけでもありません。

 

しかし、たったひとりで生きてけるほど独立し、

家族を築くには少し力不足です。

 

家族心理学では、

独身の若い成人期における発達課題は大きく分けて↓のレベルごとに存在します。

  • 個人レベル
  • 対人関係レベル
  • 家族関係レベル

発達課題が夫婦関係にどのような問題や葛藤を引き起こすのか。

一緒に確認していきましょう!

 

個人レベル

まずは個人レベルの発達課題です。

 

重要なのは職業選択によって自分社会的居場所を作ること。

 

そして、自分自身でお金を稼いで、

源家族(生まれ育った家族)に経済的に依存しなくていい状況になること。

 

つまり、経済的自立です。

 

経済的自立

当然ですが、経済的に自立するためには自分で働く必要がありますよね。

 

働いてお金を稼ぐということは大切なことですが、

ポイントはどのような職業を選択したのか。

 

そして、職業選択は主体的な決定であったかどうかです。

 

選択をするということは、

一方で、何も選ばなかったということ。

 

職業を自分の考えと意思で決定するという行動は、

当たり前ように感じますが、

結婚前に経験しておいた方がよいことのひとつです。

 

また、人生における仕事への比重も考えるべきことです。

 

仕事・家庭・子ども・個人的な余暇を、

どのようなバランスにするのか価値観を整理しておくと、

夫婦となるパートナーとの話し合いも円滑に進みます。

 

経済的自立のためには、

働くことも大切ですがお金の管理についても忘れてはいけません。

 

貯蓄の一部を投資へ回しておくことで、

老いを迎える準備にもつながりますし、

収入分散による経済的な安定にもかかわってきます。

 

親の言いなりで仕事を決めてしまったり、

経済的に親を頼っていたり、

自立することに不安を感じていると経済的自立は達成できません。

成人後の経済的な親子の結びつきは、

自分自身が自立した人間である意識を持つことを困難にしてしまいます。

さらに、年齢不相応の過度な依存や

親によるコントロールや支配にもつながります。

 

具体的な対策としては、

『一人暮らし』を経験することが結婚生活への適応を左右する要因のひとつと考えられています。

 

経済的・心理的に自立するための方法として、

資産運用と一人暮らしを始めてみてはいかがでしょうか。

 

既婚の方も経済的に親から自立できているか立ち止まって考える必要があります。

石谷落果

経済的な自立は心理学とは違う考え方や方法が求められますね。

 

 

対人関係レベル

親密性

親密な人間関係とはどのような関係性をイメージしますか?

 

『家族心理学』では、

関係の中で自分を犠牲にしたり裏切ったりせず、相手を変えたり説得しようという要求を抱かずに、相手のその人らしさを承認し合えること。

と定義されています。

 

このような関係性は誰もが望みますよね。

 

しかし、実際に親密な関係を構築することはとても難しいことです。

 

とくに、夫婦やカップルが親密になるのは時間がかかります。

親密性が構築されづらいのは、親密さへの恐怖があるからだと考えられています。

親密さへの恐怖は↓のように分類されます。

  • 依存への恐怖
  • 感情に対する恐怖
  • 怒りに対する恐怖
  • コントロールを失うこと、コントロールされることへの恐怖
  • 自己開示への恐怖
  • 見捨てられ、拒絶への恐怖

どのような恐怖なのか確認してみましょう。

 

依存への恐怖

依存への恐怖はパートナーに依存することができない人が持つ恐怖です。

この場合の依存は、

困ったときにパートナーと自然に助けあることができるという意味合いです。

『相互的な心の安全基地』の姿ですね。

 

自立を過度に重視し、

配偶者を頼ることを弱さだと思い込んでいます。

 

また、自分がパートナーへ頼ることも許容できないため、

二人の距離を縮めるのが難しくなります。

 

感情に対する恐怖

親密さの形成にはさまざまな感情を共有することが不可欠です。

 

しかし、特定の感情をパートナーと共有できない場合は、

つらく悲しい出来事を自分一人で抱え込んだり、

本当に好きなものを隠して堂々と楽しめなかったり、

親密な関係づくりを妨げてしまいます。

 

また、自分を抑え込み、パートナーに理解されないことで、

ストレスを抱え込むことにもつながります。

 

極端な場合は、喜怒哀楽の感情全般が表現できないだけではなく、

パートナーの感情を理解しないという問題につながります。

 

怒りに対する恐怖

怒りは私たちにとって避けられない感情ですが、

同時に最も扱いが難しい感情です。

 

アンガーマネジメントという方法が広く知られているように、

怒りという感情に手を焼いている方が多いのが現実。

 

怒りに恐怖を感じるには私も気持ちがわかります。

 

恐怖の現れ方には2種類あります。

ひとつは、自分の怒りによって相手を傷つけるかもしれないという過度な恐れ。

もうひとつは、相手からの怒りを向けられることを過度に恐れるというもの。

 

どちらの場合も、適切に自己主張ができないため、

自らを服従的な立場に追いやってしまうことになりかねないのです。

 

怒りの感情はコントロールできませんが、受け入れることはできます。

また、爆発する前にとめることができれば、配偶者を傷つけずに済むでしょう。

 

コントロールを失うこと、コントロールされることへの恐怖

パートナーと親密になることによって、

干渉されて自由が奪われてしまうと不安を感じる恐怖と分類されています。

 

より深いレベルでは、

パートナーに自分が飲み込まれてしまうののではないかとという

自己喪失の恐怖を感じているとも表現できます。

 

そのため、なるべく距離を取って関わろうとします。

 

愛着スタイルに回避型傾向がある可能性もあります。

 

価値観をはっきりさせておくことで、

パートナーに呑み込まれる恐怖にも打ち勝てるでしょう。

 

自己開示への恐怖

自分をさらけ出すことで自分のことを深く知られることを恐れる心理のひとつ。

 

自尊心が低く、自己を否定的にとらえているため、

親密になることで相手からの評価が否定的に変化することを恐れてしまいます。

 

パートナーに対しても自己開示がうまくできないため、

ありのままの自分でいることも難しくなり、信頼関係がなかなか深まらない傾向にあります。

 

身捨てられ、拒絶への恐怖

パートナーがいずれは自分を見捨てるのではないか、

拒絶するのではないかということを過度に恐れた心理です。

 

自己防衛のために、パートナーと距離を置いたり、

反対に愛情を確認するためにしがみつくといった行動を取ります。

 

いずれの『親密さへの恐怖』は、

程度の差はありますが、誰もが持っている感情です。

 

『親密さの恐怖』を持っていることが問題なのではありません。

 

人間関係の中で自分自身の心理を理解して、

少しずつ乗り越えていくことが大切なのです。

 

家族レベル

家族レベルの発達課題とは源家族(生まれ育った家族)からの影響と

配偶者選択に至るまで課題のことです。

問題を抱えた親との関わり方は↓の3つ。

問題を抱えた親との関わり方
  • 源家族との融合
  • 情緒的遮断
  • 傷ついた親を支える子ども

私たちは若い独身の頃には、

私は私であり自分自身の人生に責任を持つという姿勢を持つことが求められています。

 

自分自身がある程度確立されると、

自分とは異なるユニークな存在としての他者との間でも、

より親密な関係を築いていけるようになります。

 

このような状態をアイ・ポジションを確立し、源家族からも自己分化していると表現されます。

 

しかし、源家族からの自己分化は簡単ではありません。

 

源家族との融合

源家族との自己分化がうまくいかずに、

融合してしまうこともあります。

 

具体的には、

  • 親の承認や支持を過度に気にして自分を見失う。
  • 激しい怒りや憎しみの感情を持ち続ける。
  • 成人後も適度な距離を取ることが難しくなる。

といった問題が起こります。

 

融合の影響は、源家族以外の関係性にもおよびます。

パートナーへ依存し、求めすぎたり、

源家族に拘束されているために他の人間関係が乏しくなる。

といった問題が発生します。

 

情緒的遮断

情緒的遮断とは、

融合を断ち切るために極端に源家族との物理的・心理的距離を取ること。

ひとり暮らしをして音信不通になったり、

一緒に暮らしていても最小限の会話に留めたりしてしまいます。

 

自立して自己分化できているように感じますが、

根っこにある源家族との問題や葛藤が解決していません。

 

結局は、源家族以外の誰かや物事と融合関係をつくることになりがちです。

  • 異性への過度な依存
  • 問題のある集団(カルト宗教・反射・ネットワークビジネス)へのめり込む
  • アルコールや薬物依存
  • ワーカホリック
  • 源家族から逃げるための結婚

などが考えられます。

 

とくに、結婚については、

配偶者の見極めが十分にできていない可能性もありますし、

源家族の問題や葛藤からくる強い不満ゆえに、

結婚やパートナーに対して、非現実的で過度な期待を持ってしまうリスクが高いです。

 

源家族と関係を断つことで必要なサポートも受けられないかもしれません。

 

傷ついた親を支える子ども

独身の若い青年期は、子どもの巣立ちの時期。

 

親目線でとらえると、子離れの時期と重なります。

 

しかし、親が家族関係における発達課題をクリアできていないままだと、

葛藤に満ちた親の夫婦関係に子どもが巻き込まれた状態が続いてしまいます。

 

親の発達課題の影響へ子を巻き込んでしまう三角関係のような状態はしばしばあること。

 

三角関係を形成してしまうのは、親役割代行という状況であると言えます。

↑の図のように、葛藤や問題を抱えた親子は、

それぞれ心理的に『保護する親』と『傷ついた子ども』を抱えています。

 

そして、夫婦関係で傷ついている親は『傷ついた子ども』が優勢になっています。

 

そのため、親の『傷ついた子ども』を子の『保護する親』がサポートしなければならなくなってしまうのです。

 

子どもには、親を助けたい、支えたい、役に立ちたいという感情を持っています。

 

親を支えることにエネルギーを注いでしまうことで、

職業選択をはじめとして自分自身の人生のことを十分考えられなくなります。

 

結婚で家を離れることに罪悪感を抱いたり、

実際に親から責められたりして親のサポートから抜け出せなくなってしまいます。

そのため、夫婦関係を立て直すときには、

親が乗り越えられなかった発達課題も含めて考える必要があります。

 

配偶者選択

現代では、結婚して家庭を築くことが絶対的価値を持っているわけではありません。

 

しかしながら、人間という生物には遺伝子をつなぐという本能が備わっていますし、

結婚を選択するなら誰もがしあわせになりたいはず。

 

しあわせになるために、一緒に家庭を築くパートナーを選択するという行動も大きな課題なのです。

 

ではしあわせになるための条件として、私たちが結婚するパートナーに対して求めることはなんでしょうか?

 

実は、第1位は男女ともに同じく『人柄』です。

 

しかし、この『人柄』という条件には、

本人が意識しにくい無意識レベルの結婚の動機や

パートナーに対する期待が大きく影響してしまいます。

 

夫婦間契約

夫婦間契約と表現すると文章化されている決めごとをイメージしますが、

表現されていなかったり、本人も意識化していないこともよくあること。

 

そのため、パートナーと共有することが難しく、

矛盾もはらんでいるため、

夫婦間の問題や葛藤の原因になってしまうのです。

 

具体的お伝えすると、

自己主張しない従順な女性をパートナーとして選択した男性は、

彼女のことを愛し、しあわせにしたいと思ってはいるものの、

無意識レベルには強い支配欲求があるかもしれません。

 

また、頼もしい男性と結婚し、相手を支えていきたいと意識ている女性は、

無意識レベルでは幼児的な保護してほしいという欲求を強く持っているかもしれません。

 

『コイン現象』とも言われますが、

相手の長所が短所に。

相手の魅力が嫌な部分へ。

結婚生活の中で捉え方が変化してしまうのです。

 

いかし、実態は本質的にはお互いは変わっていない。

ただ、自分の受け取り方が変わってしまっただけということはよくあることです。

 

夫婦の組み合わせ

夫婦の組み合わせは自己分化度が同じレベルの人を選択している傾向にあります。

自尊心が高い人は高い人を、低い人は低い人を無意識に選びます。

 

ところが、無意識レベルでは自己分化度が同じレベルでも、

表面的には同じに見えない夫婦も存在します。

先ほど紹介した『従順な女性』と『頼もしい男性』の組み合わせでは、

一見、男性の方が自己分化度が高く感じますよね。

しかし、男性は自分に従ってくれる依存的な女性を必要としているのであり、

自立した女性と親密な関係を築けるわけではありません。

 

つまり、しあわせな配偶者選択のために大切なのは、

相手に求める条件を整理や、えり好みすることではなく、

自分自身を成長させて自己分化度を高めることだと考えられるのです。

 

結婚に向けてのやれること

自己分化度を高めて配偶者を選択したら、

何十年間もしあわせに暮らすための土台作りが必要になってきます。

 

土台作りには話し合いが欠かせません。

 

しかしながら、『家事分担』や『仕事への優先度』など

夫婦関係にかかる重要な事柄について、

80%以上の夫婦が結婚前に話し合っていないことが知られています。

 

『価値観を整理』して話し合うとしても、次に問題になるのは夫婦のコミュニケーションスキルです。

愛着スタイルやソーシャルスタイルも考慮しつつ、

自分の考えや気持ちをきちんと相手に伝えることができるのか。

相手の考えや気持ちを聴いて理解しようとする姿勢が持てるか。

という要素が重要になってきます。

 

相互的に適切に自己表現するコミュニケーションのことを、

『アサーション』といいます。

 

お互いに主張をぶつけ合っていては喧嘩ばかりが続いてしまいます。

 

一方で、攻撃的な主張に対して適切に自己主張できなければ、

夫婦関係のバランスが崩れてしまいます。

 

ぜひ『アサーション』を学ぶことで、夫婦立て直しに役立てていただけたらと思います。

 

参考書籍

本記事を作成するにあたって参考にした『家族心理学』に関する書籍です。夫婦関係の問題や葛藤が実は夫婦間だけの出来事が原因ではないことがわかる一冊になっています。

 

『アサーション』についてマンガで紹介されているため、初めて学ぶ方にお勧めの一冊です。ぜひ夫婦間のコミュニケーションに生かしていただけたらと思います。

 

夫婦間の『アサーション』について深堀りした一冊。夫婦間のコミュニケーションに悩んでいたら、まず読んでほしい書籍のひとつです。

最後に

夫婦関係を良好に保つために重要なのは、

親との問題や葛藤を解決していくこと、

コミュニケーションスキルを磨くこと、

が重要であるとイメージされたかと思います。

 

結婚前に知りたかったよ!

 

という声もあるかもしれませんが、

夫婦立て直しはいつからでも始められます。

 

石谷落果

夫婦・家族関係についてひとりで考えるのがつらいと感じたら、夫婦立て直しカウンセリングを選択肢のひとつとして考えていただけたらと思います
 
必ずあなたの力になります

 

これからも一緒にしあわせな家族を目指しましょうね!

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